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持株会社や法人化の乗っ取られリスク…ききょう企画の教訓

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2015年4月20日 第1021号

銀行による非上場事業会社への「持株会社」提案プラン。

(1)子(後継者)が100%株主の持株会社を設立。(2)持株会社が事業会社の株式100%を時価(所有不動産の時価評価等)で親(創業者)から買い取り(親への譲渡益課税あり)。(3)買取資金10億円は銀行が融資…これが銀行のビジネス。(4)事業会社からの株式配当が毎年の借入返済原資。(5)事業会社は持株会社経由で子が100%支配。株価が10億円から1000億円に増大しても親の相続税はもう増えない。

これが基本プランで、(1)銀行融資でなく親の貸付金で、(2)事業会社の不動産を持株会社に売却リースバックし、家賃を返済原資に、(3)持株会社の51%又は34%を親や兄弟で所有、(3)事前の株価対策・従業員持株会・無議決権株等の様々なオプションがあり、課税も複雑です。

上場企業の持ち株会社


持株会社を設立し、上場企業の親(創業者)から株式を市場時価15億円分を買い取ります。買取資金15億円は銀行つなぎ融資で賄い、親は売買代金15億円を受け取ります(譲渡益課税あり)。

親は持株会社にこの15億円を貸し付けて、つなぎ融資を完済。

上場企業からの配当金を貸付返済原資に弁済できますが、元金返済はしなくても可です。

あるいは、持株会社が15億円の私募社債を発行して、親に全額引き受けてもらいます。

貸付利息なら親の雑所得で税率最大55%、社債利子なら税率20% (2016年から不可) です。

非上場も上場も持株会社は似た仕組みなのです。これら持株会社(資産管理会社)は世間に多数あり、いずれもマスコミ注目の「ききょう企画(大塚家具の持株会社)」問題をはらみます。

譲渡担保で株式の名義変更

株式会社ききょう企画の役員は兄弟姉妹5人と母であり、父(創業者)は役員ではありません。

株式は長女側が過半数所有、ききょう企画の株主総会で父側の長男と母を解任、取締役は全て長女側とし、長女が株主総会と取締役会とを掌握します。

ききょう企画は大塚家具株式10%の買取資金15億円を父から利率1.5%の私募社債として借りていて、その社債償還期限が2013年に到来しました。しかしききょう企画に15億円はなく、返済不能です。そのままなら債権者父はききょう企画の資産(=大塚家具株式)を差押えます。

そこで長女側は一計を講じます。社債の返済期限の到来直前に、ききょう企画所有の大塚家具株式の名義を長女個人名に名義変更します。名義が違えば差押えはできなくなります。

形式的には、長女がききょう企画に金銭を貸し付けてその担保(譲渡担保)に取ったと言われます(係争中で実態不明です)。

譲渡担保は単なる担保、登記名義に係らず所有者は会社のまま。
父は記者会見で思わず、「悪い子供を作ってしまった…」。

戦いの結末は長女側の勝利となりましたが、父は筆頭株主であり、第二幕もありそうです。

資産管理会社を支配するには


株式や不動産の個人直接所有は税金上不利ですが単純です。

持株会社や不動産所有法人化なら税メリット大ですが複雑化し、維持するのに知恵と能力が必要で、いつか問題が起きます。

法人化等の手続きは容易であっても、それを維持し経営し続ける知恵と能力が後継者代々になければいつか破裂するのです。

持株会社、法人化された不動産、特に最近流行の一般社団法人はそんな不安を抱え続けます。


上場企業創業者が相続対策とし公益法人(美術館や育英基金)を設立しそこに上場株式を移し監督官庁から元役人を迎えました。時が経ち元役人が代々支配し続け創業者一族は手を出せない…。元役人側の知恵と能力が創業者側より優れれば当然です。

公益法人や一般社団法人は出資者不在、つまり所有者不在だから相続税と無縁なのです。しかし所有者のいる株式会社ですらききょう企画化します。所有者がいない法人を支配し続けたくても、その後継者に知恵と能力がなければ、相続税節税の見返りに、誰かに乗っ取られます。

資産家の財産管理は相続税と無縁の一般社団法人で。 2013年1月14日 第912号



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