債務超過で会社分割
バードレポート2003年3月24日 第441号債務超過のままでの会社分割 会社分割が可能になっています。ひとつの会社を二つに分けたり、会社の営業の一部を他の会社に移すことができます。
企業再生のためには債務処理が必要です。商法改正当初はこの会社分割による債務処理が期待されました。多額の借金と担保不動産だけを会社(旧会社)に残し、好調な営業部分だけを分割し新会社に移します。こうして旧会社で不良債権処理を終わらせ、新会社で再スタートです。
しかしこのような会社分割は認められないといわれました。
会社分割にあたり「債務の履行の見込みのあることを証する書面」が必要であり、たとえ収益からの履行見込みがあったとしても、債務超過なら見込みはないとして会社分割は無効になるとの考え方が主流だからです。
分割前に正式な債務免除を受け債務超過を解消してからなら問題ないのですが、大企業にはともかくも中小企業に対し銀行は債務免除しないのが普通です。
「フジタ方式」会社分割 しかし「フジタ」が会社分割を行いました。旧会社に借金と不動産を残して上場廃止します。
そして身軽になった新会社が上場します。「ハザマ」もこの「フジタ方式」だといいます。
なぜ可能なの?。弁済見込みは?。実質債務超過じゃないの?。専門家は皆驚きました。
実質債務超過であっても債権者さえOKすれば無効にはならないということなのでしょう。
実は、会社分割では資産も債務も自動的に旧会社と新会社に振り分けられて、債権者の同意は不要なのが原則なのです。ただし債権者保護手続として官報公告や債権者への通知が必要で、債権者が異議を唱えれば弁済や担保提供等が必要になります。
債権者への通知不要 ところが債権者への通知不要の場合があります。新会社が旧会社の100%子会社になる場合であって、旧会社の借金が旧会社に残ったまま等のときです(商法第374条の4(1)但書)。
資産や営業を新会社に移しても、旧会社の100%子会社ならば旧会社の財産や実態は何ら変らないのだから、債権者に通知しなくてもいいよ、ということです。なおこの場合には新会社は分割時に受け継いだ財産を限度として旧会社の債務の弁済義務を負います(同374条の10(2))。
つまり銀行に通知しないまま借金と担保不動産だけを残して、必要な営業を新会社に移行できてしまうのです。ただし分割を承認しない債権者は分割無効の裁判を起せます(同374条の12)。
銀行はどう対応するか 債務超過では会社分割不可との議論はあるにせよ、現行法でここまでは可能なのです。問題は銀行等の債権者が現実にどう対応してくれるか、です。
債権者を害する会社分割であり債権者が怒れば分割無効を訴えて、会社分割はなかったことにもなってしまいます。
しかし相応の弁済を約束できれば対応をしてもらえそうです。つまり旧会社の資産は全て売却して弁済。そして新会社も相応の借金を引き継ぎ、可能な限り弁済します。そうした上で旧会社を清算すれば銀行の不良債権最終処理は進みます。これなら銀行にも喜ばれるはずです。
営業譲渡や物件売却に比べて これまでは同様の仕組みを営業譲渡や物件売却等で行いました。新会社を用意してそこへ営業や物件や従業員を移します。
しかしこれには資金移動が必要ですし、登免税や取得税の重負担が生じ、許認可その他も煩雑です。会社分割なら資金移動不要ですし税軽減も可能で、比較的容易に進みます。旧会社を社名変更し、同時に新会社の社名を旧会社社名に変更すれば、商号続用問題はあるものの、第三者からは何も分りません。
とことん銀行と争うのならともかくも、銀行との交渉で相応の着地点を目指すのならば会社分割は便利に使えそうです。
参考「債務超過でもできる会社分割」後藤孝典著 かんき出版
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