預金名義や名義預金への贈与税




預貯金名義変更や他人名義預貯金は「贈与」とは限らない



バードレポート2005年4月18日 第541号

預貯金の名義変更は贈与か?


「不動産、株式等の名義の変更があった場合において対価の授受が行われていないとき又は他の者の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合においては、これらの行為は、原則として贈与として取り扱うものとする。」(相続税法基本通達9-9)

不動産、株式等は名義変更をしただけで贈与したものと税務では推定されます。ここで注意すべきは「不動産、株式等」についての取扱いであることです。「預貯金」は含まれないのです。

それが贈与なら税務調査は


もし「預貯金」も名義変更時に贈与があったとして取り扱うとすると、どうなるでしょうか。

夫名義の預金1億円を妻に名義変更します。銀行は名義変更の事実を税務署に通知する義務などありません。あるいは夫が預金1億円を引き出し妻がその1億円で預金をつくります。預金口座ができる度に銀行が税務署に通知することもありません。

預貯金を名義変更時に贈与があったものとするなら、税務署側がこの事実を把握して贈与税の課税をしなくてはなりません。しかしそれは不可能です。

そして10年後に夫がなくなり、相続税の税務調査がありました。

この妻名義の預金1億円が問題にされます。

税務署側…「妻名義の預金1億円はもともと亡夫の預金ですよね。だからこの1億円は実質的に相続財産として相続税の課税対象にします。」

納税者側…「名義変更したときに贈与があったとして取り扱う、というのでしょ。それならこの1億円は10年前に亡夫から妻へ贈与されたものとされるのですから妻の財産。相続税の対象になるはずないでしょうが。」

税務署側…「だって贈与税の申告をなさってないですよね。」

納税者側…「10年前の贈与税申告は失念しました。ご免なさい。でも10年前の贈与税は時効です。贈与税の申告漏れはしましたが贈与はあったのです。」

税務署側 「…仕方ないか…」

……税務署側の負けとなってしまいます。

贈与でないなら税務調査は


預貯金については名義変更したからといって、それだけで贈与として取り扱ってしまうと税務署側が困るのです。

だから名義変更や他人名義預金があっただけでは贈与税をかけないのです。そうすることで税務署側は次のように言えます。

税務署側…「10年前に名義変更したからといって贈与があったとは限りませんよね。単に妻の名義を借りただけでしょう。それに印鑑は故夫のものだし、通帳の管理は故夫がしていたし。実質的に故夫のものでしょう。相続税の課税対象です。」

納税者側はこの場合でも10年前贈与との同じ主張を強弁できますが、真実に贈与があったことを、名義変更以外の何らかの形で説明しなくてはいけません。贈与税申告をしていればともかくも、印鑑や管理が故夫なら説明は難しいかもしれません。

つまり税務署側としては10年前の名義変更が常に贈与だとすると困るのです。税金の取りっぱぐれになりますから。

逆の場合もあるけれど


逆に名義変更を贈与と言いたいときもあります。10年前でなく2年前なら贈与税は時効になっていません。課税できます。

税務署側が2年前の名義変更をみつけたならば「名義変更したのは贈与のようですね。贈与税課税をします」と言います。

今度は納税者側が「2年前に名義変更はしましたが、単に名義を借りただけです」と説明しなくてはいけません。


預貯金の真の所有者は


預貯金についてはその名義の如何にかかわらず、誰が実質的に支配管理しているのか、その預貯金の資金はもともと誰の資金か等の諸事実に基づいて、真実の所有者が判定されることになります。

これは「名義預金」と言われて相続税の税務調査では絶えず問題となるポイントです。

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