任意売却での借金返済への譲渡税課税と債務免除益課税


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任意売却での借金返済への譲渡税課税と債務免除益課税


2005年9月26日 第562号

Aさんは金融機関から3億円の借入金があり弁済困難。残る財産は先祖代々の土地だけです。

金融機関は競売をちらつかせながら、任意売却するのなら残債を免除するといいます。やむを得ず任意売却に応じました。

1億円で売れて全額を返済にまわし、残債2億円免除。すべてを失い裸一貫やり直しです。


面倒なのは税金の扱い


バブル期購入物件なら売却損なので譲渡税の心配は不要でしょう。しかし先祖代々の土地の売却なら譲渡益は生じます。

金融機関に全額回収され手元に1円も残らない場合でも譲渡税課税が原則です。

自分の借金返済のための土地売却なら譲渡税がすべて非課税ということなどありえません。

この場合1億円で売却すれば2000万円近い譲渡税のはずです。

しかし特例があります。

資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、競売等の強制換価手続の執行が避けられない場合での資産譲渡であり、その譲渡対価が債務弁済に充てられたのなら譲渡税は非課税にするというものです。

資力を失いどうしようもない状態で、「このままなら競売だ」と処分を迫られての任意売却で、売買対価のすべてを金融機関に回収された場合に限って、譲渡税は非課税になるのです。

任意売却でなく競売の場合であっても非課税になるとは限りません。他の資産があるのならそこから税金をとればいいだけです。非課税になるのは資喪失でありどうしようもない状況であることが必要なのです。

どのような場合に非課税か


具体的には「債務者の債務超過の状態が著しく、その者の信用才能等を活用しても、現にその債務の全部を弁済するための資金を調達することができないのみならず、近い将来においても調達することができない…場合」と定められています。

また「これに該当するかどうかは、資産を譲渡した時の現況により判定する」としています。

これは、その翌日に宝くじが当っても、その後の新商売で大儲けしても、譲渡税は非課税のままでいいということです。

ただし売買対価から実費控除後の残額をすべて返済しないといけない、となっており、一部を再起資金として残してもらうと非課税はダメになります。

なお会社や身内の借金の保証人として返済を迫られ売却するについては別途特例があります。

さて税務署では「課税」する人と「徴収」する人は別です。

課税する人は課税だけ。滞納すると徴収する人に回されます。本当に払えなければ滞納処分も停止となり、納税義務もいずれ消滅。税金でも「取れないものは取れない」のが原則。ただ翌日の当り宝くじは徴収されます。

債務免除益への課税回避


Aさんの債務免除益2億円も一時所得として所得税課税されます。Aさんにとって利益であることは間違いありませんから。

しかし、これについても債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難ならば課税しないとされています。


さて債務免除は微妙な問題です。任意売却後の残債がそのままサービサー等の回収業者に売られ、何年もたってその回収業者からやっと債務免除を取り付けるということも多いようです。

この時は課税に注意です。

特に法人の場合は債務免除益の特例はあるにせよ、扱いは厳しく、原則は法人税課税です。

債務免除への税務リスク回避のためなら、債務免除を目指すのでなく関係会社知人親族による残債権の買取りで対応します。

2億円の債務免除を受けるのではなく額面2億円の残債を1円(極端ですが)で買取るのです。

そして買取ったまま塩付けにしておけば債権者が回収業者等から身内に代わっただけで、債務免除益は生じないはずです。


相手が銀行でなく回収業者ならばこういった条件交渉に応じてくれることも多いようです。

(所基通9-12の2・4、36-17)



 

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