2006年度税制改正…所得税相続税法人税の公示制度が廃止


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2006年度税制改正…所得税相続税法人税の公示制度が廃止


2006年1月9日 第576号

税金の公示制度が廃止です


納税者自らが所得と税額を計算し申告納税するというアメリカ流の申告納税制度が日本で始まったのは戦後の昭和22年です。

それまでは現行の固定資産税のように、課税側が一方的に税額を決定して通知書を送りつけていたのです。

突然に自分で申告納税をしろと言われても、経験のない多くの日本人は申告するはずもなく、国家予算は大赤字。即座に厳しい税務調査が始まりました。

その申告納税制度とセットで導入されたのが「第三者通報制度」…公認タレコミ制度です。

昭和23年の大蔵省作のチラシがあります。「必ずわかる脱税!…再建の敵・脱税者は発見次第通報して」。真面目なリスが、脱税キツネを、警棒をもつ税務職員(警官?) ライオンに通報するというイラスト入りです。

通報者には徴収税額の最大10%の報奨金がありました。通報するには対象者の申告内容を知る必要があります。そこで手数料を払えば他人の申告書を見ることができるという申告書閲覧制度もできました。他人の脱税をみつけて金を稼げたのです。

さて日本の税制の根幹は昭和24年のアメリカのシャウプ博士による勧告に従った新税制です。

ここで申告書閲覧制度は廃止され、その代わりに高額所得者の公示制度が始まったのです。

公示対象者は所得50万円超でしたが、順次増額され、昭和45年以降は1000万円超。昭和57年には日本の納税人員657万人のうち44万人もが公示されました。

昭和58年に「所得1000万円超」が「所得税額1000万円超」に改められ対象者は6万人に激減。バブル絶頂期には17万人にまで増加し、昨年は7万人でした。


なお法人税については所得4000万円超が公示対象。相続税は課税価格2億円超の場合の各相続人と全遺産総額5億円超の場合の全相続人、贈与税は課税価格4000万円超が公示対象です。

アメリカはいまだに…?


政府税制調査会資料(平成14.5.10.)によると、所得税公示制度はアメリカ・イギリス・ドイツにはないものの、フランスは何と全ての納税者の所得と税額が閲覧対象です。アメリカには第三者通報制度があり追徴税額の最大15%の報奨金です。

次は納税者背番号制度?


個人情報保護法の施行もあり、平成18年度税制改正により、平成18年4月1日以降に公示されるものから、これら公示制度は法人税も含めすべてが廃止されることが決定しました。

納税者個人のプライバシーが守られるようになりました。

しかし「公示制度廃止後の適正申告を担保するためには納税者背番号制度が必要」との議論が始まることを覚悟しなくてはいけないでしょう。


公示制度廃止でなくなるもの


毎年5月中旬に長者番付発表がマスコミを騒がせますが、これは完全になくなります。高所得者へのDMは減ります。

従来は番付公示回避のために、少なめの申告をして後で修正申告といった苦労もあったようですが、それは無用になります。

また修正申告は公示対象なのに更正処分(税務署側による課税処分)は公示なしとの抜け穴があり「税逃れは認めます。しかしマスコミ対策上、修正申告でなく更正でお願いします…」との大企業も数多くありましたが、その必要もなくなります。

そしてビジネス誌恒例の「法人所得ランキング」は、決算書公表が義務付けの上場公開企業等以外は困難になります。

また相続税公示(申告書提出から4ケ月以内)を見れば地元資産家の相続状況がわかります。財産は何億円で、長男が幾ら相続したか、あるいは未分割のようだから相続争いなのか、まで分かったり想像できたりします。

情報公開法の開示請求により相続税公示をコピーで大量取得できた時期もあり、それがそのまま資産家リストとなり資産家ビジネスに多用されていました。

4月以降の公示はなくなります。


長者番付…個人情報保護と情報公開とマスコミ報道とネット 2005年5月23日 第546号







 

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