多額の生命保険金の受領…いくらだと特別受益に該当するか


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多額の生命保険金の受領…いくらだと特別受益に該当するか


2006年9月25日 第610号

生命保険金が特別受益に該当するか否かは平成16年10月29日最高裁で決着しました。生命保険金は特別受益に該当しません。

これは「おまえは生命保険金もらったのだから、相続財産は減らす」との強要は法的にはできないということを意味します。

特別受益となる生命保険金


ただ最高裁判決は「不公平が…到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には」特別受益に該当するとして、極端はダメとしています。

どのくらいが極端となるのかは、はっきりしません。


最高裁判決から1年後の平成17年10月27日に東京高裁決定がありました。

結論は、相続財産の土地建物等1億円で、別途に生命保険金1億円。この1億円そっくりを一人で受取った場合には特別受益に該当という内容でした。

高裁決定から引用します。

「本件においては、Aが……受領した保険金額は合計1億0129万円に及び、遺産の総額(相続開始時評価額1億0134万円)に匹敵する巨額の利益を得ており、受取人の変更がなされた時期やその当時Aが被相続人と同居しておらず、被相続人夫婦の扶養や療養介護を託するといった明確な意図のもとに上記変更がなされたと認めることも困難であることからすると……それぞれの生活実態及び被相続人との関係の推移を総合考慮しても、上記特段の事情が存することが明らかというべきである。したがって……Aが受け取った死亡保険金額の合計1億0129万円はAの特別受益に準じて持戻しの対象となると解される。」

亡くなった父親は歯科開業医でした。相続人は子二人AとBで、Bは歯科医となりました。

保険金1億円を受取ったのはAで、父親が亡くなる数年前に受取人名義を変更していきます。父親が亡くなったときの遺産は土地建物1億円で、この土地建物にはBが住んでいます。

さてここからは推測です…。

A「この1億円の土地建物はあんた(B)が相続して、私に5000万円を現金でよこせ。」

B「お前(A)は保険金1億円を受取ったんだろう。だったらお互い1億円だからいいじゃないか。保険金1億円は特別受益だ。」

A「保険金は遺産と関係ない。特別受益なんかじゃない。」

更にA「あんた(B)は高校4年・予備校3年・大学(正規の課程なら6年のところ)11年・医師国家試験予備校2年もかけて歯科医になった。

この間に父親が特別に負担した授業料生活費車代等7000万円は特別受益だ。だから5000万円に加え7000万円の半分(相続分)3500万円も私に支払え。」

大学学費は特別受益か


東京高裁は遺産総額に匹敵するような保険金であり特別受益に該当として、Aの特別受益1億円という結論となりました。

また学費については興味深い結論を出しています。

「高校を卒業するのに4年を要し歯科大学合格のために3年程度を要することは一般にありうることであり、被相続人が開業医であったことを考慮すると、その間の生活費の負担は扶養義務の範囲というべきであり、生計の資本としての贈与には該当しない。…大学学費…(正規の課程である6年間の分)はやむを得ない負担であり,いずれも特別受益に当たら」ない。

大学留年5年間の授業料生活費1570万円、医師国家試験予備校2年間で668万円、等3000万円をBの特別受益と認めます。

この場合では浪人生活や正規の課程での学生生活での学費生活費の負担は親として当然の負担だけれども、それを超えた分は特別受益だ、との結論です。

特別受益があると相続分は特別受益を相続財産に加算します。

Aが具体的に相続するのは、(土地建物等1億円+A特別受益1億円+B特別受益3000万円)×1/2(法定相続分)−A特別受益1億円=1500万円、です。Bを同様に計算すると8500万円です。

生命保険金は相続財産ではないし、特別受益にも該当しない。2004年11月8日 第520号







 

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