自己信託…資産を自社に残したままでの資金化が可能に


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自己信託…資産を自社に残したままでの資金化が可能に


2007年2月5日 第627号

自己信託は強烈で1年先送り


12月公布の改正信託法は80年ぶりの大改正です。強烈な制度に「自己信託」(法3条3号)があります。余りの強烈さに自己信託だけは施行が法律の施行日(公布日から1年6ケ月以内)から更に一年先送りになります。

自社所有の不動産を自社から切り離して事業化しようとすれば信託やSPCに移します。

信託なら信託銀行に信託を委託し、所有権を信託銀行に移し信託銀行が受託者になります。その上で信託受益権をSPC等に譲渡しています。

不動産を自社から分離することが当然のことと思っていましたが、自己信託により分離しなくても分離したことにできます。

信託銀行に信託を委託するのでなく、自社の不動産を自社が自社に信託を委託します。自社が委託者でありかつ受託者になるのです。そしてその信託受益権を譲渡等します。これが自己信託です。不動産所有権を自社に残したままで、その信託受益権を第三者に譲渡できるのです。

実務上は、対象不動産を特定し、「私は私に信託する」と必要な事項について公正証書等の書面で宣言すればいいだけです。

なんだか、よく分からない…


自社の財産区分に、特別に区切った「信託エリア」を概念的につくって、自社固有の財産をそのエリアに移すと自社固有の財産から自己信託の信託受託財産に変わると考えましょう。

登記をすることでエリア内で生じる責任をエリア内財産だけの限定責任とできて、そのリスクから自社固有財産を守れます。

そしてエリア内の財産から利益を受ける権利を自己信託の信託受益権として譲渡等できます。

信託受益証券を発行すれば転々流通する有価証券と扱われ、複数にも譲渡でき、対象不動産をエリア内に自社所有権として残したまま証券化が完了します。

更に受益者は第三者でなく自社でも可能とも言われており、もし可能であれば、委託者=受託者=受益者の信託が成立し、自己信託してから受益権の買い手を捜せばいいことになります。


貸付債権や事業の自己信託


銀行はその有する中小企業向け貸付債権を自己信託した上で投資家に販売できるようになります。中小企業からみれば貸主は銀行のままで変わらないので抵抗感は全くありません。SPCも信託銀行も不要になり、信託銀行はずし信託銀行手数料はずしが可能になります。

ある特定の事業部門を自己信託して受益権を投資家に販売するといった実質的な事業譲渡も可能になり資金調達手段となります。その部門の従業員は会社を変わらないままで済みます。そして、例えば油田開発等のリスキーな事業が大失敗してもすでに信託のエリア内に移したのですから固有財産は守れます。

自己信託をどう活用するか


資本金一円会社設立より簡単。都合のいいときだけ「信託した」。公正証書等で信託としても第三者チェックなし。ライブドアが活用した投資事業組合よりももっと簡単に不明朗取引が可能になってしまいます。金融庁等はどう監督するのでしょうか。

なお信託されると競売が困難になるために、信託は競売妨害にも使われてきました。自己信託が競売妨害に使えたら大変なことです。そこで競売妨害には使えないよう整備されました。

また自己信託の受益者を関連赤字法人にする等の課税逃れが予想されます。

2007年度税制改正で縛りが入ります。期間20年超信託や、損益割合が自由変更可なら、その信託からの所得について受益者にではなくその法人に法人税課税できるよう整備されます。

不動産を信託受益権化すれば、登記も安く取得税も不要。不動産特定共同事業法も心配無用。現物不動産でなく、その受益権が転々と流通しはじめています。

不動産ビジネスで信託受益権は避けて通れなくなります。不動産業にも信託業法登録が必須の時代を迎えそうです。

信託受益権化不動産の媒介は信託業法…金融庁の業者登録(2005年7月18日 第553号)






 

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