種類株式…無議決権・社債類似・拒否権付き株式の相続評価


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種類株式…無議決権・社債類似・拒否権付き株式の相続評価


2007年2月26日 第630号

10倍議決権株式と税制改正

 米国ネット検索のグーグルには二種類の株式があります。

一般株主がもつ普通株式と、創業者らがもつ特別株式です。特別株式は普通株式の10倍の議決権があります。創業者らの持ち株比率はわずかでも、この特別株式のおかげで議決権の50%強を握っています。一般株主が反乱を起こしても一般株主は経営陣をクビにできません。

さてこのような株式は日本でも発行できます。2006年に施行された会社法では、(1)配当の多い株少ない株無い株(2)会社を清算するときに残余財産の分配の多い株少ない株無い株(3)議決権の多い株少ない株無い株(4)拒否権付き株(5)取締役監査役の選任権付き株…その他様々な種類の株式を発行できるようにしました。

拒否権付き株式や取締役選任権付き株式は、合併や重要な営業譲渡、取締役選任等の一定の議案につき一般株式の議決では足りず、これら特別な株式だけでの議決が必要となる株式です。


つまりグーグルの特別株式は日本で当然発行できるのです。

なお公開企業では証券取引所がOKするか否かという問題がありますが、非公開の中堅中小企業なら問題はありません。

さて、会社法が様々な株式を認めたことで、困ったのは国税庁です。普通株式と議決権10倍株式の相続税評価はどう違う?

複雑過ぎて確たる答えはでないでしょう。でも一定の答えを出さないといけません。

2007年度税制改正大綱で評価方法を明確にするとなりましたが、詳細はこれからです。

しかし経済産業省が国税庁が今後公表予定とした評価方法を早々に公表してしまいました。


特別な株式のうち以下(1)(2)

(3)の3種類について相続税評価を定めます。以下2事例は経済産業省資料の事例からです。

無議決権株式と社債類似株式


財産の大半が自社株式である中小企業オーナー経営者が後継者に経営権を集中させたいのだが、複数の相続人がいる場合。

(1)優先配当するけれど無議決権の株式と(2)一定期間後には会社が発行価額で買い取る無議決権のいわば社債類似株式とを発行します。他家に嫁いだ妹等にはこの(1)(2)の株式を相続させます。そして後継者には議決権のある普通株式を相続させます。妹等の興味は議決権にはなく配当と換金ですから。

この(1)の無議決権の配当優先株の相続税評価は、議決権のある普通の株式よりも5%評価減できることになりました。

ただし5%分は議決権有り株式の評価額に上乗せしますが、議決権無しなら5%評価減です。

また(2)の社債類似株式は社債に準じて評価(発行価額と配当により評価)します。実態がほぼ社債だからでしょう。

拒否権付き株式の相続税評価


経営権を譲り渡した後の息子(後継者)の独断専行経営を一定期間は防ぎたい親の場合。

(3)拒否権付き株式を親が保有し一定の拒否権を確保します。

そして親が亡くなったときにはこの(3)の拒否権付き株式を息子が相続することになります。そのときの拒否権付き株式の相続税評価は普通株式と同じ評価でかまわないことになりました。

さて、これは何を意味するのでしょうか。拒否権が付いても付かなくても相続税評価額は同じということです。


拒否権は「会社を他人に渡さない権利」であり支配続けるための権利です。この権利の相続税評価額がゼロとなったのです。

日本は拒否権を持つ国連常任理事国になりたくて様々な外交をしました。それだけの価値があるからです。しかし相続税での拒否権はゼロ評価なのです。

いうまでもなく、これを相続税対策でどう活用するのか。これは興味深いところです。

無議決権株式と社債類似株式は外部に放出し、議決権株式と拒否権付き株式とだけで会社を支配続ける可能性があります。相続税は少なくて済むでしょう。

優先株式・劣後株式・劣後出資をつかって相続税対策(2002年7月8日 第407号)






 

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