逓増定期保険の節税規制…保険業界の節税提案の危うさ


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逓増定期保険の節税規制…保険業界の節税提案の危うさ


2007年4月16日 第637号

不動産税制は複雑で猫の目改正ですし、それが当然と思われています。
不動産そのものに個別性が強いこともあり、不動産関連コンサルタントは節税話法に慎重です。

また買換え特例など多くの不動産税制は趣旨等の大きな視点から判断もできます。一方で保険税制は単純で改正もほとんどありません。通達での極めて細かい規制も多く大きな視点そのものが存在しません。

そのためか保険関連のコンサルによる節税話法は極めてマニュアル的で、不動産のそれに比べ危うさが漂います。「通達がこうなっているから大丈夫」…通達が続く保証などありません。

生命保険保険料と銀行積立

逓増定期保険という節税商品があります。

「定期」というと定期預金がイメージされ貯蓄と勘違いされますが、掛け捨て死亡保障だけの保険です。

掛け捨てならば法人契約での保険料は損金(経費)になるのが原則です。しかし掛け捨てであっても長期の定期保険なら解約時に返戻金(へんれいきん)があります。

契約初期は年齢に比べ保険料が高いので保険会社は差額が積立てられます。年をいってからはそれを取り崩し、最後はゼロとなり、掛け捨てとなる仕組みです。途中で解約すると積立部分が解約返戻金として戻ります。

これが節税となります。支払い保険料が損金になるにもかかわらず、積立金が戻るからです。支払い保険料のほとんどが解約返戻金として戻る節税目的定期保険が販売されました。

50歳から20年定期保険。

当初の死亡保険金1億円、15年目ぐらいから保障額が急増し70歳で死亡保険金は5億円…といったものです。

高齢時の保障を高額にして、その分を契約初期にどんどん積立てます。だから初期は積み立てばかり。年間保険料の数百万円が損金になります。しかし10年程で解約すれば支払い保険料ほぼ全てが戻ります。逓増定期保険と呼ばれます。

銀行の積立預金は損金になりません。

中途解約すれば同様であるのに銀行商品でなく定期保険なので損金になるのです。昔は節税対策のもっと凄まじい節税保険商品もありました。

国税庁として捨て置けないということで、平成8年に通達改正し一定の条件を付しました。

しかし通達が改正されればその通達をクリアできるような商品開発をし、節税商品競争はエスカレートしました。

逓増定期保険の通達改正


またしても国税庁の目に余ったようです。3月下旬に通達改正予定と生命保険協会に伝え、生保各社は一斉に販売自粛です。

改正内容はまだ不明です。しかし3月決算対策で駆け込み契約をした法人も多いでしょう。
それはどうなるのでしょうか。

前回の平成8年通達改正時は次のようになっていました。
「…以前の契約に係る…保険料については、…その支払期日が到来するものにつきこの通達の取扱いを適用する。
」つまり既に契約済みの契約も、通達改正後の保険料支払いについては改正に取り込まれました。

思い込みによる節税話法


保険業界の税務対応は目を覆いたくなるものもあります。傷害保険特約が損金になるとの通達はあります。しかし単体の傷害保険は通達がありません。

「似たようなものだろ…」ということで、何社もの保険会社が損金となる前提で「節税できます」として長期の傷害保険を売りまくりました。各社お互いに「あの保険会社がやっているなら大丈夫だろう…」で、どこも確認を取らなかったようです。

そして国税庁は「そんなのはOKなどしていないぞ」。
全額損金として販売したものが4分の1だけ損金と決まりました。

「そもそも長期傷害保険の保険料を全額損金算入できるという税務解釈は生保側の思いこみだったという。」 (日本経済新聞2006.10.7.) 単なる思い込みですから過去分まで問題とされるかもしれません。なんとも情けない話です




 

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