新信託法で、買取転売信託・貸金回収信託・有価証券不動産


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新信託法で、買取転売信託・貸金回収信託・有価証券不動産


2007年5月28日 第642号

買い取り転売前提の信託


現行信託法では、受託者は共同受益者の一人である場合を除き、信託の利益を享受できないと定めます。信託受託者が単独で受益者になると信託の利益をうることができませんでした。

「受託者は受益者である場合を除き、信託の利益を享受できない(8条)」と改正されます。つまり受託者が単独で受益者になるのであれば信託の利益を享受することができます。

不動産を至急売却しようとしてもいい買い手が現れないので、とりあえず○○さんに買ってもらい、○○さんはゆっくりと販売する…こんな買い取り転売が信託できるようになります。

まず信託銀行等の信託会社に信託の設定をします。その信託会社に信託受益権をつなぎで買ってもらいます。信託会社はその後に最終的な買主を探せばいいのです。信託ですから登録免許税等も安くて済みます。


ただし「受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年継続したときは、信託は終了する(163条2)」

不動産名義は信託登記で受託者に移りますので、許される期間は1年限りになります。つまり1年内で転売可能な仕組みをつくればいいのです。

新制度に自己信託があります。自己所有の不動産を「自分に信託する」と宣言すれば、自分が委託者=受託者となるという不思議な仕組みです。これも1年以内ならば「委託者=受託者=受益者」の三位一体信託が可能になります。とりあえず三位一体にしてから売り先を探します。

貸金回収のために信託させる


不動産を信託するに際し、その不動産と関係ない借金をその信託に付けることができます。

ある収益不動産を信託します。別に浪費で残った借金があります。この借金を信託の中に入れてしまうことができるのです。「信託前に生じた委託者に対する債権であって、その債権に係る債務を信託財産責任負担債務とする…(21条3)」

貸主は、浪費癖ある借主から返済を受けるより、不動産を信託会社に信託させてその借主から分離させ、信託会社からの返済を受けるのが確実です。

信託受託者が、その借金について委託者(借主)から形式上での債務引受をします。貸主が承諾すれば「免責的債務引受」となり、貸主は受託者である信託会社にしか請求できなくなります。「重畳的債務引受」にもでき、両者に対して請求できます。

不動産が有価証券になれば


信託すると不動産は信託受益権に変わります。宅地建物取引業法で不動産の仲介はできますが信託受益権は扱えません。金融庁は信託業法に「信託受益権販売業者」登録制度を用意して不動産業者を受け入れました。

さて金融商品取引法(現行の証券取引法)は信託受益権を「みなし有価証券」と定めました。

「みなし有価証券」を扱えるのは金融商品取引法の「第2種金融商品取引業者」となります。「信託受益権販売業者」登録の不動産業者もそこに移行します。


不動産業者は国交省から更に離れて金融庁に近くなります。

さて信託法改正により信託について信託受益証券の発行が可能になります。「信託受益権」でなく「信託受益証券」です。

株式投資信託は特別法で受益証券を発行し証券会社等の窓口で転々流通する有価証券として販売しています。不動産も同様のことが可能になるのです。

さて「信託受益券」は「みなし有価証券」ですが、「信託受益証券」は「有価証券」そのものです。これは「宅建業者」でも「第2種金融商品取引業者」でなく「第1種金融商品取引業者(現行証券取引法での証券業者)」が扱います。

個別不動産が有価証券になれば、買いたい人はREIT同様に証券会社に買いに行きます。

信託受益証券化で、優良不動産の流通は、国土交通省からも不動産業者からもずっと遠いところに行ってしまいます。

自己信託…資産を自社に残したままでの資金化が可能に(2007年2月5日 第627号)






 

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