事業承継問題検討小委員会での遺留分

自民党事業承継問題検討小委員会での遺留分や遺言への提言



自民党事業承継問題検討小委員会での遺留分や遺言への提言


2007年7月2日 第647号

事業承継問題検討小委員会

日本経済新聞2007.6.12.で報道された自由民主党による「中小企業の事業承継円滑化に向けた提言」が公開されました。

自由民主党経済産業部会・事業承継問題検討小委員会は分科会を含め21回のヒアリングや議論を重ねており、その提言は幅広く極めて実務的なものです。

また平成19年度税制改正大綱には「中小企業の事業承継の実態を見極めつつ、事業承継の円滑化を支援するための枠組みを総合的に検討する。」という一文があり、これは検討すべき課題とされていることです。

提言全てが実現するかは不明で、参院選も控えますが、政策に強い影響を与えるのは確実です。新聞によれば来年通常国会での議員立法を目指します。

遺留分減殺請求の新制度


「事業承継契約(仮称)スキーム」の創設として、後継者への事業用資産の生前贈与や遺留分紛争防止等を提言しています。

特に遺留分減殺請求についての具体的提言が注目されます。

後継者が同族株式や事業用資産を相続した場合において、後継者以外の相続人が遺留分減殺請求をすることにより事業継続が困難となることがあります。

そこで他の相続人からの遺留分減殺請求に対する金銭による弁償について分割払いを制度化したり、一定の合意を前提として一定期間内での遺留分減殺請求を停止することの方策について検討がされます。

また遺留分減殺請求については相続人に対する特別受益に該当する生前贈与も対象です。そのためにずっと昔に贈与を受けたものであっても遺留分減殺請求の計算対象となってしまいます。そこで一定要件を満たす事業用資産の贈与について、一定期間以前の贈与については遺留分減殺請求の対象から除外することも検討がされます。

過去の贈与財産の評価


遺留分の計算法も検討します。

相続時精算課税制度により後継者に同族会社株式をまとめて贈与するケースが増えました。

相続時清算課税では将来の相続税計算時に過去の贈与財産を加算して相続税での再計算をします。その再計算時の贈与財産の評価額は贈与時の評価額です。

後継者が親から1株1万円で1000株1000万円の贈与を受けました。後継者のがんばりで20年後には1株評価が100万円にもなりました。その時に親の相続があれば、相続税での再計算時の相続税課税対象となる評価額は1株1万円1000株で1000万円です。

しかし民法は違います。株式贈与が特別受益とすれば、相続人の相続分は実際の遺産にこの贈与株式を加算したところで法定相続分により計算します。そしてその計算する際の評価は贈与時点ではなく相続時点での評価になります。つまり後継者の特別受益を1000万円でなく10億円(1株100万円1000株)として相続分を計算することになります。値上がりが後継者の努力によるものであっても、です。

後継者の貢献は考慮されず、逆に後継者以外の遺留分を増加させ、後継者が承継した事業をさらに発展させる動機を失うことになります。これに対応する方策について検討がされます。


撤回ができない遺言制度


公正証書遺言であってもその後に新たな遺言が作成されればその部分は撤回されたものとして無効です。そのことによって後継者の地位が不安定になります。そこで一定方法でしか撤回できない遺言が検討されます。

なお実務においては負担付死因贈与契約が撤回できない遺言書代わりに用いられますが、その場合での撤回できないことの要件明確化が検討されます。

憲法問題もありそうだけど


提言は税務法務での事業承継策実行の際の実務問題をよく拾い出しています。憲法問題になりそうな点もありますが、それでも相続紛争を未然に防ぎ円滑に後継者に事業承継させることを可能にします。法制化の動向に注目しないといけません。


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