証券化で不動産所有はどう変わる…REIT
バードレポート第218号1998年8月3日
日本の近未来は、アメリカを通して見えるようです。アメリカのREIT(「リート」・不動産投資信託)を通して日本の不動産を考えてみましょう。リースバックでの証券化 アメリカでは刑務所も不動産ビジネスです。「刑務所」という事業用不動産を所有し、政府から囚人一人当たり料金を受け取って運営します。刑務所は常に超満員で空室率?の心配も無く、不況期には犯罪が増え収益向上する魅力ある投資先だそうです。
数十ヶ所の刑務所を運営する全米最大の会社がREIT(不動産投資信託)になります。まず別会社をつくり、運営部門を移管します。抜け殻となった元の会社は不動産を所有するだけの会社となり、不動産を運営会社に賃貸します。この抜け殻会社をREITとして証券化するのです。会社として上場企業になるのではなく、投資信託として上場されるのです。その名も「刑務所不動産信託(プリズン・リアリティ・トラスト)」といいます。
ハンバーガーのマクドナルドも同様のプランを検討中です。全米数千の自社所有店舗をそっくり別会社に移し、その会社をREITにして売却し、投資家から資金を調達するといいます。不動産の上場ビジネス 上場させれば、REIT総額は不動産価格を大きく越え、キャピタルゲインを得ます。貸し渋りの中でも市場から大量の資金調達が可能です。調達した資金で更なる物件購入しREITはさらに巨大化します。大量の不動産を保有する会社そのものを小口化にし、証券市場で上場流通させているのです。日本での証券化といえば、ひとつの不動産を用意して、それを小口にして売ろうと考えるのですが、随分と違うものです。直接所有から間接所有へ シカゴ市職員年金基金は年金の運用財産として所有する不動産をREITに売却し、その資金でその売却した不動産を所有するREITを購入しました。機関投資家が不動産の直接投資からREITを間に挟んでの間接投資に変えたのです。アメリカでは生保や年金基金が同様の動きを進めています。
REITは市場で自由に売買でき、不動産直接投資に比べ流動性が高く、市場価格を毎日把握できるので資産状況が一目で分かるからです。直接永久投資が前提のこれまでの日本では考えられないことです。超大規模民間賃貸住宅経営 全米最大の集合住宅REIT(エクイティ・レジデンシャル・プロパティ・トラスト)は全国統一ブランドで全米14万戸の賃貸住宅経営をしています。入居者には安心だし、コストも低く競争力は絶大です。高品質経営を行うことで収益拡大を目指します。そうすることで市場でのREIT価格を引き上げようとするのです。
日本でも定期借家権導入で大企業ビジネスとしての賃貸住宅が成立しそうですし、この集合住宅REITの経営者も日本で賃貸住宅の物色中だそうです。
こんな相手とまともにぶつかったなら「余った土地に相続対策でアパートを建てる片手間賃貸住宅経営」の日本の地主さんなどはひとたまりもありません。REITが一般化した意義 97年末での全米でのREITの株式時価総額は1400億ドルです。5年間で8倍です。REITは、賃貸中のテナント名・賃料・契約内容を当然に公開します。今の日本ではこれら情報公開はまずありません。
「広く大衆に保有され、透明性があり、投資家への説明義務を負う企業(REIT)が出現し、不動産は個人所有からREIT経由のパブリック(公共)所有へと急速な転換が起こっている。」と上記経営者は言っています。
日本でもSPC法と会社型投信との新制度で証券化スタートのようです。制度は違うもののお手本のアメリカではREITをきっかけに不動産所有の大変革が起こりました。日本もその入り口にいます。
(参照:日経金融98/3/6812134/237/22)
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