生保の社員総代会「とんでも」傍聴体験記/メルマガ
▼▼▼ 資産ビジネスのプロ向け バードレポート メルマガ版 ▼▼ バードレポート http://www.bird-net.co.jp/ ▼ 保険選びネット http://www.hoken-erabi.net/ ▼バードレポート メルマガ版 2004.7.27. ------------------------------------------------------------ 生命保険の比較情報「保険選びネット情報」
生保の社員総代会「とんでも」傍聴体験記 相互会社システムは機能しているのだろうか。
生保会社の社員総代会を傍聴しました。貴重な体験ができました。 今回は長文ですが、是非ともお読みください。 ============================================================
●社員総代会の傍聴を思い立った。
私は消費者の立場からの生命保険のポータルサイト「保険選びネ ット」を運営している。ちなみにこのポータルサイトの訪問者数は 連日4000人を超え、ページビューは一日に4万ページとなる。 その相談コーナーでは生命保険に悩む多くの人たちと保険のプロ とが意見を交わしている。
○「生命保険」分野のインターネット視聴率調査(amazon.com調べ) http://www.alexa.com/browse/general?catid=176105&mode=general 第一位…「保険選びネット」 第二位…アメリカンファミリー 第三位…日本生命 第四位…第一生命 第五位…AIGエジソン生命保険
サイト運営者として消費者の立場から保険商品や保険会社の対応 を見るようになってから、とんでもない保険会社までも存在に気づ くようになり落胆している。信じられないような設計書までもが横 行している。
あまりにひどい事例についてはネット上で事実を紹介し、その保 険会社の社長あてに「なんとかしないのか、社員総代会で説明せよ、 」といった公開質問を郵送し、ネットでも公開している。
○堂堂人生のトホホな転換設計書 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/0789.htm 「まさに転換前の契約について不利に見せて転換後の契約を有利に 見せようとする、と言われても仕方がないでしょう。明らかな作為 を感じます。天下に名だたる大企業が一般の消費者向けの提案書に このような細工をしているのです。」
○第一生命社長さんへの公開質問状 http://www.hoken-erabi.net/cgi-bin/oshiete_com/oshiete_com02/hatenaman.cgi?action=view&disppage=1&no=77
通常このような転換の事例は個別契約の問題、つまり営業員の資 質の問題として片付けられていたが、とんでもない。その会社のコ ンピューターによる設計書システムを見れば、会社の経営者の意思 決定だということは明らかなことがはっきりする。
上記ケースでは生命保険協会の調停機関「裁定審査会」で転換取 り消しを認められ、マスコミでは「詐欺的」とまで報道された。同 じ様式の保険設計書を入手し分析し、上記のホームページに公開し 解説している。お読みいただければ三菱自動車を彷彿とするだろう。
ただ生命保険契約は、三菱の車のように燃え上がらないし、事故 を起こさないから、目立たないことが違うだけだ。いったん契約し てしまえばあとは安心を買ったと思って保険料を払い続けるだけだ から。静かに着実に契約者の財産はかすめ取られてきたた。
ただ多額の広告費予算をもつ保険会社に対して、マスコミは情け ないほど弱い。
なお全ての保険会社のコンピューターシステムがこのような「詐 欺的」なものではない。この問題保険会社だけがトホホなようだ。 ある別の保険会社のスタッフは「そんな会社と一緒にしないでく れ」と私に向かって怒った。確かにほとんどの保険会社の設計書に は誠実に記載されている。
ただし保険設計書上に「誠実に記載されていること」と、営業員 によって「誠実に説明されていること」が同じことではないことを 残念ながら付け加えざるをえない。
------------------------------------------------------------ ●相互会社って何なんだ
大手の保険会社は「相互会社」だ。各社の正式な社名は日本生命 保険相互会社・第一生命保険相互相互会社・明治安田生命保険相互 会社・住友生命保険相互会社・富国生命保険相互会社となっている。
生命保険には多くの人たちがお金を出し合い、その中から死亡し た人がいればそのお金をその人に渡すという、相互扶助の精神がそ の仕組みの中にある。
保険契約者が保険料というお金を出し合い、そのお金を死亡等し た保険契約者の保険金として渡す生命保険の仕組みにかなっている。 商売ではなく契約者の相互扶助のシステムだ。そして保険契約者が 自分たちの保険システムの実務処理をすることができないから、保 険契約者がこれらの事務作業を誰かに委任することになった。これ が相互会社だ。
相互会社とは保険業法により特に認められた法人形態である。相 互会社では保険契約者を「社員」と呼ぶ。保険会社の「いわゆる社 員」はこの相互会社システムでの「社員」ではなく、法的には単な る従業員や営業員である。
社員とは保険契約者のことであり、その全員が集まって社員総会 を開いて、そこで取締役を選任し、その取締役にその保険システム の実務と運営とを委任するのが本来の相互会社の姿だ。
つまり根本が株式会社とはまったく異なる理念なのだ。株式会社 は儲けや配当を期待する株主が取締役を選任する。しかし相互会社 は契約者が自分たちの保険システムの運営のために取締役を選任し 業務を委任する。
しかしながら、現在の保険会社では一社での社員数は数百万人あ るいは千数百万人に達している。この全員がそろっての社員総会な ぞ夢物語だ。
そこで保険業法では社員全員が集まるのではなく社員の代表者と しての社員総代を選出し、その社員総代が集まる社員総代会を規定 している。大手生命保険会社各社は百数十人から二百人程度の社員 総代を選任して、この社員総代による社員総代会において取締役を 選任することになっている。
ここには大きな危険性がある。実際には「誰が社員総代を選任す るか」だ。形式的には「社員総代選任委員会」といった一見客観的 とも思われる制度が用意されてはいる。しかしこれは中央官庁の審 議会とも似た「見せ掛け」になりかねない。
実際には社員総代の選任を会社側が取り仕切らざるをえないだろ う。そもそも保険契約者は自らが「社員」だなんて思ってもいない し、そんな面倒なことにかかわるのは御免と思っている。すると「 総代候補選考委員会」といった形式的な選考過程はあるものの、実 質的には保険会社の取締役が社員総代を選任し、その社員総代が取 締役を選任するといった様式にもなりかねない。そうなればコーポ レートガバナンス(企業統治)は存在しなくなる。
○保険会社の常識は非常識 …相互会社システムがはぐくんだ「常識」 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/9158.htm
数年前に保険業法が改正され、相互会社から株式会社への組織変 更が可能になっている。金融行政サイドは株式会社への誘導を行っ た。現に大同生命や太陽生命、三井生命のように株式会社化を果た した保険会社も増えている。
しかし相互会社のように株主代表訴訟もなく株主からのプレッシ ャーに無縁な組織はその経営陣にとって居心地がいい乗り物なのだ ろう。大手各社は依然として相互会社形態を維持している。ちなみ に明治生命と安田生命は相互会社同士での合併を果たし、合併後も 相互会社のまま存続している。
さて私が社員総代会を傍聴しようと思いたったのは、会社サイド にとっては触れてほしくない問題…例えば問題保険会社での転換設 計書の問題等…について社員総代会でまっとうに扱われるのだろう か、と疑問に思ったからだ。
問題保険会社を傍聴したかった。しかしながら傍聴できるのはそ の保険会社の契約者に限られる。私はこの保険会社の契約者ではな い。そのため、不本意ながらその代わりに私が契約者となっている 保険会社の社員総代会を傍聴することにした。この保険会社にとっ て見れば迷惑きわまりないだろうが。
なおこの保険会社に悪意はまったくないし、過去には随分とお世 話になったし感謝したこともある。問題保険会社と違い至極まっと うな会社だと思っている。もっともこの保険会社の広報部も「保険 選びネット」からの郵送等による何度かの質問や設計書提供のお願 いについては、他社同様に、一切無視を続けていだだいているが。
○例えばこんな質問やお願い。 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/ichibukaiyaku0404_01.htm
インターネットで調べたところ今年の保険各社の総代会は見事に どこも日程をそろえて7月2日午前中。私が契約者である保険会社の ホームページには、傍聴は6月18日までにハガキで申し込めとある。 官製ハガキに「傍聴希望」と書き「保険契約の証券番号」を書いて ポストに投函をした。
6月22日、突然この保険会社の総務部の担当者から電話が入った。 「傍聴のお申し込みありがとうございます。ついては案内状を持 参したいので…。」 ホー、傍聴券をわざわざ一軒一軒配って廻るのか…。なるほど、 どんなヤツが傍聴に来るのか心配なのはよく分かる。 ご持参は丁重に辞退し郵送いただいた。
さて社員総代会当日。早起きして始発の新幹線で社員総代会の開 催される大阪に向かった。
------------------------------------------------------------ ●保険契約者と保険会社との関係
金融庁は2004年3月31日に事務ガイドラインを改正し、各保険会 社に対して社員総代会制度の運営の改善を求めている。
○金融庁 事務ガイドラインの一部改正について http://www.fsa.go.jp/news/newsj/15/hoken/f-20040331-1.html
そこには「総代の選考プロセスは、会社から独立性が確保されて いること。」「総代会の議事等について、インターネット等も活用 してディスクローズ等を拡充すること」「傍聴制度の一層の周知」 …といった文言が並んでいる。
これらの文言から逆説的に、これまでの社員総代会が一体どうい った運営だったのかが伝わってくるだろう。
相互会社という制度は理想論からいえば素晴らしい制度だ。保険 契約者が手を取り合って実務実行者としての取締役を選任し、自ら の保険運営を委任する。しかし相互会社の仕組みは機能しない。
なにしろ大手の保険会社の契約者すなわち法律上での社員数は数 百万人、多いところは千数百万人規模にもなっている。ここから社 員総代を選らぶなんて不可能だ。それには国政選挙並みの選挙が必 要となる。現実を無視した制度になってしまっている。
なお形式的となってはいるが相互会社では保険契約者の代表者が 取締役を選任する。だれに選任されたのかを取締役はよく認識して いるだろう。だから保険会社が保険契約者を欺く行為は詐欺的ばか りでなく背任的背信的行為である。
前述のように最近は生命保険契約の「転換」問題が噴出している。 逆ザヤに苦しむ各保険会社は過去の高利率の保険契約を下取りし、 現在の低利率の保険契約に置き換えようとする。
この観点だけからいえば銀行が高金利の定期預金を解約させて低 金利の定期預金に誘導するのと同じ行為に等しい。これが生命保険 の「転換」とか「下取り」の一つの側面だ。会社の利益を増大する ためには正しい行為かもしれないが。契約者の利益と利害相反する ことも多い。
転換については保険の見直しの立場から「いい転換」があるのも 事実だ。しかし多くは契約者の無知をついて契約者を害し保険会社 を利するもので、「いい転換」と「詐欺的な転換」の件数を比べれ ば圧倒的に後者だろう。
こうして騙された保険契約者も社員の一人なのである。社員総代 は社員を代表している。すべての保険契約者を代表する。前述のよ うな問題保険会社のコンピューター出力の保険設計書にだまされた 問題保険会社の保険契約者をも社員総代は代表している。
もし社員総代会がしっかり機能していれば、これらが問題になら ないはずはない。これに目をつぶる社員総代は一般の社員に対して 責務を果たしていない。社員総代は社員の代表である。今度は社員 総代が社員に対して背任的なことになる。社員総代は企業経営者や 地元の名士が多く選ばれてきた。しかし名誉職ではない。責任を果 たしていただきたい。
------------------------------------------------------------ ●とんでも傍聴体験
タクシーで会場にたどり着いた。
有名高級ホテルの2階すべての広間を借り切ったのが社員総代会 の議場になっていた。ホテルのあちこちに保険会社のバッチをつけ たスタッフが立っており、緊張感が漂っている。ちなみに社員総代 の数は150人。昨夜はこのホテルに泊まった社員総代も多いらしくホ テルのフロントでチェックアウトをしては、次々に二階に消えてい く。ただし二階への入り口は厳しいガードとチェックとで関係者以 外は入れない。
私の傍聴券には「議場内ではなく別室でスクリーン」にてとある。 ネット上の案内文にも「議場内への入場者は申し込み先着順。残り はモニターの別室のモニターで」とあった。先着順なら仕方がない。
私は社員総代ではなく単なる傍聴人だ。別室で傍聴というのだか ら、大きな部屋にテレビが一台あって、折りたたみイスがズラリと 並んでいる風景を勝手に想像していた。しかしとんでもない。現実 は大きく異なった。
指定された別室はホテルの地階にある宴会フロアにあった。絨毯 の敷かれた階段を下りて驚いた。結婚式場のような華やかな受付が セットされており、受付には何人もの女性。
その周辺には会社のバッチを胸につけたスタッフがたくさんいる。 受付に進むと、単なる傍聴人の胸にまるで来賓につけるかのような 花をつけてくれる。その花の下にはしっかりと傍聴者の名前が書き こまれている。名札代わりということか。
受付の女性に聞いてみた。「傍聴者は全員ここで傍聴なのでしょ うか」「そうです」。つまりネット上で説明されていたような「議 場内への入場者は申し込み先着順。残りはモニターの別室のモニタ ーで」はなく傍聴者全員が地下に隔離なのか。「説明と違うだろう。 おかしいだろう。」と声を荒げた。周りが皆振り向いた。
(なお、このメールマガジンを発行するに際して後日説明いただい たところでは、二つの傍聴部屋のうちの、私が傍聴したほうではな い別の一つの部屋は、この地下から議場にエレベーターで移動して、 議場内にて傍聴したとのこと。つまり約半数は議場内で傍聴した。 私の勘違いだった。)
傍聴部屋は二つある。後に分かるのだが傍聴者は全部で30名ほど。 二つの部屋に分けて案内される。係りに案内されて、その傍聴部屋 に足を踏み入れてみると、予想していた折りたたみイスの風景はな かった。
中華料理店にあるような円卓テーブルが三つがゆったりとおかれ た広い宴会場だった。テーブルには白いテーブルクロス。大きなテ レビモニターが三台セットされている。
その円卓の一つに案内されると、その円卓には結婚式の宴席のよ うに名前の書かれた席札が置かれている。単なる傍聴人にここまで するの?。席に着こうとすると、そのテーブルに着席していた紳士 3人が急に立ち上がり私に深々と挨拶をする。私もあわてて深々と。 傍聴者同士でこんな挨拶をするのかと、まず驚き。
しかし、それは私の勘違い。この3人はこの保険会社本社の部課 長だとあとで紹介される。私の円卓は傍聴者5人(本来は6人だが1人 欠席で5人)と保険会社の役職者3人の合計8人。つまり傍聴者のどち らかの隣には必ず役職者がいるという席割りになっている。さて、 彼らは説明役なのか接待役なのかはたまた監視役なのか…。
部屋に傍聴者は約15名。各テーブルに傍聴者5人程と役職者3人な のか。部屋の入り口に保険会社側が別途数人。
入り口のひとりは胸に弁護士バッチをつけた紳士。ただしこの紳 士は最初から最後まで眠るがごとく目をつぶったままだったので弁 護士として傍聴者に目を光らせていたわけではない。
見渡すと傍聴者の大半をビジネスマン風のスーツ姿が占めている。 平日の午前中だ。いったいどんな立場で、どんな興味で、どんな目 的でここに来ているのだろうか。
議事がモニターに映されて、メモをとる人もいるが、つまらなそ うに目をつぶっている人も目立つ。それ以外には中高年の女性が目 立つ。その女性の一人とお話したところ、この保険会社の元営業員 さんだった。
10時35分にモニターでの議場の中継が始まる。取締役が並んでい る演台は映されるが、社員総代側の様子は一切写らずに議場の空気 は伝わってこない。ただあれだけ広い宴会場で、社員総代数は150 人。きっとこの傍聴者席よりももっと広々としているのだろうな…。
------------------------------------------------------------ ●社員総代会の議事進行
議長役の社長は滞ることなくスムーズに議事を進行していく。決 算の説明が20分ほど、今後の事業展開についてが10分ほど。随分と 事前準備したのだろう、よどみない説明が続く。とても分かりやす いし、資料についても詳細に用意されている。
こうして質疑応答の時間となる。まず事前に社員総代8人から質 問が15問。これには事前に回答が準備されておりよどみなく進む。
意外にも厳しい突っ込みもある。社員総代のひとりに生命保険分 野に詳しい大学教授がいらして、この教授の事前質問は厳しい。
質問「総代の定数を増加させるとある。定数を増加すると総代会 費用はどの程度増加するのか。増加することに積極的な十分な意義 はあるのか。」と、金融庁での議論を踏まえ教授は事前質問の上に 口頭での意見と質問を重ねる。
回答「現在150名の社員総代を30名増加する。選考方法の多様化 を図り、社員の意思をより一層幅広く総代会に反映できるようにす ることが、ガバナンスの強化のために有効な方策であると考えたか らだ。
現在社員数は約800万名で、この意見をどれだけ反映できるのか といった点が課題であり、本来は社員総会を開催し一堂に会するの が理想だが事実上困難だ。 総代定数の増員により総代会に係る費用はおよそ年200万円程度 増加する。」
…社員総代ひとりあたり7万円か…交通費と宿泊代?プラスアルフ ァかな…ちなみに私は社員総代ではなく傍聴者なのでそのようなこ ともなく新幹線代は自腹。
質問「退職慰労金を開示する企業が増加している。この保険会社 も開かれた会社として、退任取締役への慰労金の総額を開示すべき ではないか。」
回答「今回退任の4名分は約2億2000万円プラス功績加算額であり、 功績加算額は取締役会で決めさせていただく。」
この事前質問15問で総会は終わりかと思ったものの、議場からの 質問を受け付ける。その場で挙手による(と思われる…傍聴部屋の モニターからは見えないので)質問が4問。「高齢の保険契約者の誕 生日にはなにかプレゼントをよこせ」なんていう質問もある。
ここで質問がされると社長のかげにいるスタッフが、スッと回答 メモらしきものを議長役の社長に渡す。12時5分質疑終了。そこで 議案の決議。利益処分、定款変更、役員退職金、もちろん異議なし。 12時15分終了。そのままモニターは消える。
3日後の日経金融新聞には各相互会社の社員総代会での質問数が記 されていた。この保険会社が最多だったようで多くは10問以下。し かしこの保険会社の19問が多いというものの質問者数は10人ほど。
社員総数を800万人と回答していた。そのうちで社員総代150人、 傍聴人30人、質問という形でその場で意見表明したのは10人ほどと いうことになる。
この会社の社員総代会のような「退職金の総額は」などというシ ビアな質問はネット上で確認する限り、他社ではなかったようだ。 もちろん期待していた転換契約への質問なんてありゃしない。どこ もシャンシャン総代会のようだ。
金融庁の保険会社に対する事務ガイドラインは前述のように今年 の3月に改正されている。社員総代会については「総代により提出さ れた議案等に係る保険会社による説明内容や各総代の発言内容等の 詳細」について「インターネットのホームページの活用等により」 開示しろとこと細かく定めた。各保険会社は開示せざるをえない。
------------------------------------------------------------ ●総代会が終わって
傍聴部屋の役職者にも無事に社員総代会が終わったという安堵の 表情がながれている。このあとはお食事タイム。
「これからお食事の用意をしますので・・・」
しかし私の隣のスーツ姿の傍聴人は、やっと仕事から開放された という風情で、そのまま立ち上がり一礼して書類カバンを手に足早 に部屋から消えていった。
ありがたいことに傍聴人にもホテルの食事が振舞われる。傍聴に 来ただけなのに高級ホテルの立派なお弁当、サラダ味噌汁コーヒー 付き。残念なのはお茶だけということ。さすがに「ビールがほしい 」とは言えない。
ぎこちないながらも各テーブルごとの食事をしながらの懇談が始 まる。説明役(監視役?)は、本社の部課長だから、社内では皆それ なりに偉い人たち。その人たちが頭を低くして誠意をもって傍聴者 との会話をすすめようとする努力は伝わってくる。結構楽しく会話 ができた。
いよいよお開きの時刻を迎え、役職者一同に見送られて、傍聴者 一同は退出する。
私は地下鉄で新大阪駅に向かい、そのまま東京に戻った。
さて単なる「傍聴者」がこれほど大切に扱われるとは思わなかっ た。扱われる側としては悪い気はしない。私なんぞは最初受付で声 を荒げたくせに(後に勘違いと判明したが)、おいしい食事をいただ いておとなしいネコになってしまった。
しかし傍聴者をこれほどまでに大切に扱ってしまうということに 病巣がある。150人の社員総代と30人の傍聴人を気遣うのではなく、 800万人の社員からの付託に答え、それを結果をだすことだろう。 わずか180人に気を使うことで800万人に気を使わないで済んでいる。
居酒屋「和民」を運営するワタミフードサービスの株主総会は70 00人まで入れるホールで行われた。出席者を3000名から4000名と予 想するものの、何人が出席するのか当日まで分からないいので、全 ての出席者を別会場ではなく同じ議場内に案内したかったから広い 会場にしたという。
この保険会社では社員数は800万人。それで社員総代150人で、傍 聴者はわずか30人。株式会社の運営に比べて相互会社の運営が楽な のは確かだろう。
○ある社員総代の感想 http://www.asahi-net.or.jp/~TX3T-ISYM/hoken.htm 「一番驚いたのは、社員総代会ですね。事前の手配や出席者への 気遣いがすごい。会ったこともない女性が「○○さまーっ、お待ち していました」と叫んで、花をつけてくれる。昔からの知り合いみ たいに、自信たっぷり。あれ、間違えることだってあるでしょうね、 私に「□□様」とか(笑)。どうやって準備するのかな。」
私が傍聴した今回の社員総代会もシャンシャン総代会には違いな かったが、総代会の中においてはしっかりと説明責任を果たしてい たし、大学教授からの厳しい質問もしっかり受け止めていた。そも そもこの教授のような「何を言い出すか分からない社員」を社員総 代に選出するのはそれなりに見識ではある。社員総代会としてはし っかり行われていた。
しかし保険会社は相互会社のままでいいのだろうか。問題点は株 主総会ではなく社員総代会であることだろう。傍聴してみて実感し た。
------------------------------------------------------------ ●相互会社のコーポレートガバナンス
現在の相互会社である生命保険会社にコーポレートガバナンス( 企業統治)は存在しない。各社の定款を見ると「取締役は総代会に おいて選任する(日本生命保険相互会社)」「取締役は総代会におい て選任します(第一生命保険相互会社)」「当会社には取締役25人を 置き、総代会においてこれを選任する(明治安田生命保険相互会社) 」となっており、そして各社とも取締役の報酬は総代会において定 めるとなっている。
しかし実際に機能していない。だから金融庁は社員総代会につい ては人数を増やせとか議事を公開しろとかの注文をつけている。保 険会社側では選考委員会等を用意し、契約者懇談会といった仕組み も拡充させている。しかし千万人もの社員の意見の取りまとめは不 可能だ。だから事実上では取締役が選んだ社員総代により取締役が 選任されるという仕組みになりかねない。
そうなればコーポレートガバナンスは存在しなくなる。透明性は なくなり、説明責任は果たせなくなる。契約者は苦情をいうクレー マーではない。社員であり、会社の支配者なのだ。にもかかわらず 株主総会のように自由に出席して自由に質問できる場は存在ない。
昼食中の懇談で同じテーブルの役職者から「株式会社化すると経 費がかかるから…」との話があった。確かにそうだろう。その代わ りに株主総会に対する緊張感のない経営、株主代表訴訟に対する危 機感のない経営、つまり説明責任不要なるがゆえの透明性のない経 営にとなる。
太陽生命は2003年4月に相互会社から株式会社化し、太陽生命保 険相互会社から太陽生命保険株式会社となった。
「『株主がいると一年間ずっと気が抜けず、常に緊張感がある。 』…(太陽生命の)社長に就任する大石勝郎専務は、契約者代表で ある総代が統治する相互会社と株式会社の違いをこう説明する。長 期事業である生保は毎期の利益に一喜一憂しない相互会社の方が合 っているのが定説だった。しかし大石専務は『長期事業だからこそ 頻繁に業績を開示する必要があると反論する。』」 (日経金融新聞 2003.12.9)
私には大同生命の小さな契約がある。大同生命が株式会社化した ときに一契約者に過ぎない私にまで株券を配られた。たしかに保険 契約者は相互会社の社員であり、会社の支配者なのだ。私はそれを 実感した(厳密にいえば、私の分は端株だったので株式市場で売却 されて20万円ほどのお金が振り込まれたのだけれど)。
もしも大手生命保険会社が株式会社化すれば、株券を手にしたり 売却金が振り込まれる契約者が何十万人何百万人いるとはずだ。相 互会社のままでいるということはこれら契約者の権利に蓋をしてい ることともいえる。
生命保険会社が株式化すれば、社員には換金性のある株券が送ら れてくるし、それは社員の当然の権利である。
そして大同生命の株券を得た株主つまり元社員ならだれでも株主 総会に出席でき質問することができる。そこに透明性と説明責任と が具現する。私が傍聴した生命保険会社が株式会社化していれば、 私は傍聴部屋ではなく株主総会の議場で株主総会の議長である社長 に対して質問をぶつけることができる。
UFJ銀行の株主総会で株主の怒りの質問が相次ぎ3時間。三菱 自動車の株主総会は社長の陳謝から始まっている。
「日本生命など主要生保六社(相互会社)は7月2日、株式会社の株 主総会にあたる総代会を開催……。 今年度の総代会では、業績回 復に向けた対応策などの質問が出されたが、経営陣が厳しく追求さ れるような場面は少なく、1時間40分程度で終了した。」 (新日本保険新聞 2004.7.12号)
日産のゴーン社長は2010年をメドに本社の移転を発表したものの、 「その時、私が横浜にいるかどうかは株主に聞いてほしい。私はも ちろん横浜で勤務したい。」といっている。確かにそれを株主が決 めるのだろう。さて相互会社ではだれが決めるのであろうか。
------------------------------------------------------------
<参考リンク> ○「生保」の株式会社化(2001年7月31日 読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/dr/20010731md01.htm
○明治安田生命のホームページ 今年の社員総代会の質疑応答 から http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/mutual/represent/57/57_qa/main.html
Q.海外先進国の生命保険会社の会社形態および当社の株式会社 化への考え方について
A. 生命保険会社の形態別の会社数をみると、日本では40社中、 相互会社は6社です。
海外先進国の状況については、調査時点にそれぞれ若干のずれが ありますが、アメリカでは1,171社のうち相互会社は83社、フラン スでは78社のうち14社、ドイツでは120社のうち22社となっており、 会社数では相互会社は少数派といえます。
相互会社形態および株式会社形態には、それぞれにメリットとデ メリットがありますが、そのどちらの形態がふさわしいかについて は、会社がめざす経営理念・経営戦略や、ビジネスモデルに応じて 判断されるものと考えています。
当社は「相互扶助の精神とお客さま第一主義」を「経営理念」に 掲げており、保険契約が本来的に有している長期性および相互扶助 性をふまえると、保険契約者である社員自らが運営する相互会社形 態が最もふさわしいと判断しています。
------------------------------------------------------------ 「保険選びネット」のページから
○堂堂人生のトホホな転換設計書 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/0789.htm
○第一生命社長さんへの公開質問状 http://www.hoken-erabi.net/cgi-bin/oshiete_com/oshiete_com02/hatenaman.cgi?action=view&disppage=1&no=77
○保険会社の常識は非常識 …相互会社システムがはぐくんだ「常識」 http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/goods/9158.htm
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●●「保険選びネット」●● 利用も登録もすべて無料 当バードレポート発行元が運営しています。 生命保険の相談相手探しコーナーもあります。 http://www.hoken-erabi.net/ 相談相手を探せるサイト 保険のプロやFPが顧客との接点をもてるサイト ☆利用も登録もすべて無料のサイトです。
●「生命保険…おしえてください」掲示板…大人気です。 書き込む人より、読むだけの人が圧倒的に多いようです。 そしてここから多くの保険契約が成立しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●このメールマガジンは月4回発行 第1週…最新の「バードレポート・トピックス」 (月8回発行する月2100円の有料FAXレポートのうちの1回分) http://www.bird-net.co.jp/rp/CP040002.html 第2週…バードレポート新規公開 第3週…専門家向け「3分で読む資産ビジネスQ&A」 第4週…生命保険の比較情報「保険選びネット情報」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 配信の解除、メールアドレスの変更は http://www.bird-net.co.jp/rp/CP040003.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ bird発行人:山浦邦夫 yamaura@bird-net.co.jp 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-15-8 ニッパンビル 株式会社バード財産コンサルタンツ TEL:03-5389-0988 FAX:03-5389-0933 ▼▼ バードレポート http://www.bird-net.co.jp/ ▼ 保険選びネット http://www.hoken-erabi.net/ ────────────────────────────── 『まぐまぐ』の配信システムを利用しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
バードレポートとは
|
|
●バードレポートは1ケ月に8回発行で月額2100円のFAXレポートです。2年経過分をインターネット上に公開しています。
●最近の見本紙数回分をFAX情報ボックスから無料で取り出せます。FAXからお電話いただければ、自動応答でそのFAXへお送りします。またお電話から電話いただければご指定のFAX番号に自動応答でお送りします。
●電話番号03-5972-9569へお電話(携帯可)いただき、メッセージに従ってください。送付先のFAX番号を指定することもできますので、FAXから電話するのでなく通常の電話からのお電話で情報ボックスからFAXへお送りします。途中でボックス番号を聞かれますが、ボックス番号は「1番」です。
●PC向け無料メルマガ・携帯向け無料メルマガ・有料FAXレポートを発行しています。
|
|